コーヒー焙煎コラム

更新:2023年11月25日

焦げた深煎りコーヒーは身体に悪い

※2016-03-22の手記です。

ネットのニュースで気になる記事を発見しました。食品を焦がす事で発がん性物質が発生する事は良く知られていますが、その摂取量がコーヒーを含む飲料からが約17%を占めているそうです。※参照記事「ヨミドクター」

コーヒーの焦げについてはフォレストでも以前から注意しており、全体的に焦がさない浅目の焙煎で仕上げています。真っ黒に油ぎった深煎り豆は、高温で焙煎されたか、日にちが経過しているものがほとんど。特に焙煎したてから油ぎっているのは火力が強すぎて焦げている可能性が高いと思います。

画像は今朝焙煎した「マンデリン・フレンチロースト」です。

他店ではミディアムでも通用する程度の色ですが、しっかり低温で二回目のハゼ(深煎りで豆が発するメッセージ)で仕上げています。これくらいだと中央部にある色の薄い欠点豆(死豆と呼ばれる枯れた豆)が発見しやすくハンドピックで除去できます。

ところがこれ以上深く煎ると欠点豆もすべてが真っ黒になり発見は困難になります。味は深煎りコーヒーらしい苦みが出ると思いますが、改めて健康面でも考えてみると深煎りでも浅目の焙煎がよろしいかと思います。

焦がさない事でコーヒー本来の味わいが出ます。コーヒーが苦いのは焦げ味が中心でコーヒー自体は苦みは少ないはずです。

油ぎった深煎りコーヒー豆の弊害

※2016-07-09の手記です。
※2022-03-18一部修正しました。
※2023-11-25未検証部分削除。

深煎りコーヒー豆で真っ黒で油が浮いたものを良く見ます。油が出る原因は主に焙煎時の加熱オーバーと、焙煎後日数が経っている場合がほとんどです。煎りたてで新鮮なコーヒー豆なのに油がベトベトなのは明らかに加熱オーバーです。

すべての油には「スモークポイント(発煙温度)」と呼ばれる温度があります。スモークポイントを超えた油には有害物質が成生されるそうです。たいていの油は230℃以上がスモークポイントですが、ココナッツオイルやオリーブオイルなどは180℃前後がスモークポイントのものもあります。

コーヒーのデーターは見つけられませんでしたが、230℃以上は危険水域かもしれません。ちなみに当店の場合、スモークポイントを気にして225℃以下で焙煎終了させています。

焙煎直後には油分が出ていませんが、約12時間経過でポツポツ、24時間以上経過でうっすらとにじむ程度です。油ベタベタになる頃にはもったいないですが廃棄処分しています。また、二次弊害として油分が保存容器やミル内に残り不衛生になりがちです。

画像は今朝焙煎したての「コロンビア・フレンチロースト(深煎り)」です。

コーヒーの焦げ味の原因

※2016-03-25の手記です。

先日の記事「焦げた深煎りコーヒーは身体に悪い」にはご興味を示された方が多かったようです。

コーヒー本来の苦味と焦げ味を混同されているケースも多いようですが、コーヒー本来の苦味は口に残らず、焦げ味は口に残ります。食パンをトーストして焦がした時を思い浮かべていただければ分かるかと思います。

コーヒーの焦げた苦味の原因は焙煎時の炭化によるものです。豆自体の表面が焦げるケースは重症ですが、センターカットと呼ばれる豆の中央部分にある薄皮が焦げてしまうのも原因の一つです。

焦げた部分のほとんどはちぎれて豆から離れますが、内部にまで浸透し残ってしまいます。質量的にはわずかですが、焦げは焦げですので注意が必要です。

真っ黒で油ぎったコーヒー豆はもちろん、このセンターの部分を注意して見るのも焦げ臭くないコーヒー豆を見分けるポイントになるかもしれません。

画像は
左:深煎りコーヒー
右:浅煎りコーヒー

関連、参考記事:低温、余熱での焙煎効果


画像左側:コロンビア深煎り、右側:コロンビア浅煎り(クリックで拡大)

口に残るような苦味は炭化(コゲ)が主な原因です。浅煎りにせよ深煎りにせよ過度な火力(高温)での焙煎ではコーヒー豆の表面が炭化してしまいます。仕上げ時に釜の余熱を使う事により焙焼温度を低く保ったまま酸味成分を甘味に変化させ煎り上げる事ができます。

関連、参考記事:油の浮きが少ない低温焙煎


画像左側:焙煎直後の深煎りコロンビア、右側:焙煎5日後(クリックで拡大)

低温焙煎は深煎りでも油分の浮き出しが少ないのが特徴、数日かけてじわりと油が出て来ます。焙煎直後から脂ぎった高温焙煎のコーヒー豆は空気に触れるぶん油分が酸化しやすく、器具や容器を汚してしまいます。

コーヒー焙煎機の種類

コーヒー焙煎機の種類は大きく分けて「直火式」「熱風式」「半熱風式」の三種類があります。その特徴はいろいろな専門書やサイトで紹介されていると思いますが、違うのは「熱の伝わり方」だけです。

直火式はドラムシリンダーが網状になって炎が直接生豆に当る構造です。熱風式は外部で熱せられた空気を生豆に当てて焙煎します。半熱風式は直火式のシリンダーが鉄板状になったもので生豆にはシリンダーからの伝道熱と排気で引き込んだ熱気を利用します。

このページをご覧になっているような自家焙煎店は、熱風式は大規模なプラント設備なので対象にならないと思います。そこで直火式と半熱風式の比較になると思います。良く目にするのが「直火式は香りが出て、半熱風式は味がすっきりする」というものですが、はたして本当なのでしょうか?

直火式は生豆に直接炎が当りやすいので豆の真ん中にあるスキンが焦げます。また火加減によっては豆の表面にも焦げを作ってしまいます。このスモーキーな香りをコーヒーの香りと混同されている方もけっこう多いものです。コーヒーの香りは生豆が持つ性質で、香りの少ない生豆はどんな焙煎を施しても持ち味以上には表れません。直火だからと言って香りが良くなるというのは疑問に感じます。

「半熱風式は味がすっきりする」は、直火と比較した場合ある意味正解だと思います。その理由のひとつが焦げにくいという事です。焦げは炭化です。お餅を焼き網などの上で焼いた経験のある人でしたらわかると思いますが、焦がさないよう火加減が難しいものです。少しでも焦げてしまったお餅はお餅本来の風味は損なわれてしまいます。これを天火式のオーブンでお餅を焼いた場合はどうでしょう。そんなに火加減(熱加減)を気にしなくともある程度は上手く焼けると思います。

当然、半熱風式焙煎機は天火式のオーブンとは構造が違いますが、オーブン同様に直接炎が当らない分焦げにくくコーヒーの風味が素直に出ます。しかし、シリンダーが真っ赤になるほどの強火で焙煎した場合はこの限りではありません。つまりはどんな焙煎機でも取り扱い、火加減しだいだと言うことです。腕に自信のある方でしたら直火式焙煎機は有利です。それは消費者が「熱風」よりも「直火」と聞く方がコーヒーが美味しそうに感じるからかもしれません。

コーヒー焙煎の意味

コーヒーは生豆を加熱焙煎して飲用されます。コーヒーの生豆にはコーヒーを想像するような香りは一切なく、あの芳醇な風味は焙煎という作業によって生まれます。

そのコーヒーの生豆の正体は植物の種子です。植物は子孫繁栄のため種子を残すのですが、大切な種子を動物に食べられては困ります。動物に対してある種の毒物を備えて自衛していますが硬い殻で覆われているので噛み砕かない限りは無毒です。

たとえば夏のビールのおつまみの定番枝豆は生のまま食べるとお腹を壊しますが、「ゆでる」という加熱行為によって毒素が分解されます。

コーヒーの生豆にもアルカロイド系の毒素が確認されています。そこで焙煎という加熱作業で毒素も分解されているのですが、焙煎が不十分だと毒素が残ってしまいます。コーヒーを飲むと胸焼けを起こす場合は、コーヒーが古いのではなく毒素が残っている可能性があります。

適正なコーヒー焙煎とは

浅煎りは酸味が、深煎りは苦味が強いと一般的に言われますが、それは単純な焙煎の過程に過ぎず、焙煎しだいでは浅煎りでも苦く(渋く)深煎りでも酸味(すっぱく)を感じるコーヒーが生まれてしまいます。

コーヒーの生豆にはある種の毒素があり、これらは加熱により無毒化し飲用に適するようになります。(参考記事:コーヒー焙煎の意味)この加熱作業がコーヒーの適正な焙煎です。

焙煎、つまり加熱が不十分もしくは過度になると嫌な酸味や苦味が生まれてしまいます。目的の煎り具合を決め、適正な焙煎を施せば浅煎りでも深煎りでも(無毒化された)まろやかで飲みやすいコーヒーが生まれます。適正な焙煎の過程で考えると、目的の浅煎りの次は中深煎りでもなく深煎りでもなく失敗なのです。

焙煎データーの落とし穴

コーヒーの焙煎は奥が深いと言ってしまえば本当に奥が深いものです。じゃあどれくらい奥が深いのかと聞かれると「ご自身の満足の度合い」と答えるしかありません。つまり今焙煎したコーヒーが100%満足ならそこが奥の行き止まりです。しかしもっと満足できる点があるのかもしれないと考えるとその先に奥が深まります。

コーヒーの焙煎は同じ量の素材(生豆)でも数々の条件によって完成度合いが変わって来ます。釜や煙突などの設備から火力、温度、風量、湿度、室温、排気そして時間・・・細かい諸条件まで数え上げればキリがありません。これらが生豆に相互に働きあって焙煎が進みます。

残念ながら焙煎機で制御できる条件は火力と排気と時間、それらが結果として表れる温度くらいしかありません。焙煎が単純に火力、排気、時間(x,y,z)の三次元で行えるならば表れる点は常に一箇所です。しかし同じように焙煎してもまったく同じコーヒーが焙煎される確率はかなり低いはずです。それは制御しきれない諸条件が作用しているからです。

これがデーター焙煎の落とし穴です。そして最も重要なのが先に挙げた「ご自身の満足の度合い」。こればかりは数値化つまりデーター化できません。たどり着く先はやっぱり「(職人の)勘」というものでしょうか?

コーヒー焙煎士と焙煎人

近頃ネットはおろか新聞でも目にする事のある「コーヒー焙煎士」という存在。中には「天才焙煎士」と名乗る人も・・・焙煎士と聞いただけでとても優秀なコーヒー職人さんに感じますよね。

さて「士」というと特別な国家資格でもあると思いきや、そんな資格は存在しません。まあ企業単位で焙煎士と認めれば焙煎士になれるのかも知れませんが・・・

かつて腕利きの職人ほど自分自身をいっぱしの職人とは認めなかったものです。現在の自分の能力にあぐらをかいてしまえば向上心が薄れてしまうからでしょうね。くやしいけれど私はただの未熟者なので焙煎を行う人、つまり「焙煎人」を名乗っています。

コーヒー焙煎指導について

たまにコーヒー焙煎指導のご依頼をいただきますが、大変申し訳申しございませんが一切お引き受けしておりません。

理由は多忙なのと、当店で使用の焙煎釜が現代の物とかけ離れた古さ、そして指導能力が無いからです。 メールでの質問もお返事できかねますのでご了承願います。焙煎のヒントなどは今後このコーナーで記事にしていきますのでご参考になさってください。ただしあくまでも私個人の見解なのでその点はご了承願います。

コーヒーの焙煎プロセスはとってもシンプルです。私も何十年前に焙煎指導を受けましたが細かい事はもう忘れました。高額な焙煎教室に通うよりも、その分回数を重ねてご自分のスタイルを確立なさってください。

そして、失敗はどんどん体験すべきです。

何事も、失敗の原因を多く知っている人ほど、成功への修正が可能だと思います。

どうぞ頑張ってください。